◆ 劇団空中サーカスVol.6 『兵士の物語』 ◆
劇団員の日記より
1月某日 by I
いよいよ劇団に入ることになった。
前からうすうす予感はあった。
この人たちにとっつかまって、骨までしゃぶられるかも知れない・・という、甘美な予感である。
今日は初ミーティング。
遅刻しないように、電話した。
「もしもし。Iです。Eさんのおうちって、どの辺りでしたっけ?」
「何か用?」
「今日ミーティングですよね?」
「はあ? 何言ってんの? ミーティングは明日だよ、じゃあね」ブツ。
出だしからコケてしまった。
俺の人生って、いつもこうだよな・・(遠い目になるが、眼が細いのでよく分からない)。
3月某日 by E
冬眠から醒めた。
ほかの奴らを出し抜いて、秘密特訓をする。
誰よりも早く役作りをして、物覚えの悪いほかの奴らを馬鹿にするのが私の趣味だ、ふふふ・・。
でも無駄になった。(キャスト変更のため)
4月某日 by N
やっと、4小節とまらずに弾くことができた。
残りの小節を数えてみる。数え切れないのでやめる。
道のりははるか遠い。
5月某日 by M
W嬢が「こわた1号」「2号」「3号」を連れてきた。
人見知りして、稽古場の隅っこでおとなしくしている。
そこに、Y系ちびギャングどもが乱入してきた。
所狭しと暴れまくるガキんちょども。
いつの間にか、近所の子供まで混じっている。
その渦の中心を、あくまでマイペースにのそのそと突っ切っていくEジュニア。
こわた3号が泣いている。
まさに、阿鼻叫喚の地獄絵図である。
稽古だか、子守りをしているのだか、分からん。
6月某日 by M
稽古場に慣れて、昼寝もするようになったEジュニア。
彼のお気に入りは、演出Nの豊満な胸。
我々は「肉ベッド」と呼んでいる。
何だかEジュニアがNの胸になついているな、と思ったら、それは「おねむ」のしるし。
今日もまた、EジュニアはNの胸で憩う。