◆ 劇団空中サーカスVol.8 『ガンダーラ』 ◆


座長の日記より

12月25日 メリークリスマス!
照明プランナーのS氏が初めて稽古場に来られる、とあって、みんな緊張していた。
「クリスマスツリーの飾りつけはOK?」
「サンタクロースの服、ドンキで買ってきたんですけど、もう着ていいですか?」
「プレゼント交換の品、足りてるよね!?」
「進呈するマグカップ、これです! とってもかわいいんですよ!」
通し稽古の後で、みんなでクッキーを食べ、プレゼント交換をし、写真撮影をし、「稽古場のメリークリスマス」を楽しんだ。通しはボロボロだった。

1月 次はだあれ?
女が、倒れた。原因は、たらふく食った牡蠣。「トイレと仲良しになりました」と、後日、女は語った。
学者が、高熱を出した。過去数年、風邪を引いたことがないから大丈夫、と豪語していたのだが、インフルエンザ菌には勝てなかった。正月早々、バーゲン会場で人ごみにもまれて感染した疑いも捨てきれない。
少年が、吐き気と熱に襲われた。原因は分からない。
「次は誰でしょう」
と弟。
「順番から行くと私ですね、ふふふ」
「いや、あなたは日常的にダメだから、すでに倒れていると言える」
とそっけない演出。
弟は病気もちで、病気にかこつけて、稽古場で昼寝をするというあつかましい習癖がある。
「じゃあ次は演出、あなたです。楽しみですね。ぞくぞくしますよ」
自分だけは倒れまい、と演出は心の中で思った。

1月某日 ハッピーバースデイ
舞台監督は、演出から次々出される変更に、頭を悩ませていた。電話&メールで、一方的にプランの変更を告げられる。いたって事務的に。
「みんな、僕の誕生日なんか、覚えていないだろうな……無理もないよ、僕でさえ忘れかけているくらいだから」
舞台監督は、劇団員の誰一人としてお祝いメッセージをくれない寂しい誕生日を迎えた。
「ハッピーバースデイ、僕」


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